仏恥義理男塾
-仏恥義理男塾- 第22回

炎のネットオークション!



横浜銀蝿 -仏恥義理男塾- DiGi/USER 3月号原稿

《タイトル》

炎のネットオークション!

《本文》

年を迎え、いざこのページもリニューアル
心機一転今年もヨロシクってなわけだ。

んでいきなりで何なんだが、
みんなはネットオークションてのは知ってるよな?

色々なヤツがネット上に品物を出品して、
それをまた色々なヤツが競り落とすあれだ。
今では当たり前のように浸透しているネットオークション。

売り手はいらなくなったモノを手軽に処分でき、
買い手は家にいながら欲しいグッズを
納得した値段でゲットできたりして、
売り手にも買い手にも、すこぶる都合のいいシステムだ。

しかし俺は、
41歳の今の今まで、
そんなネットオークションなんてえ代物には一切、
手を染めたことがなかった。
ていうか機会がなかったってかんじかな?

ところが昨年末、
とうとうこの俺にもネットオークションデビューのチャンスが訪れた。

を隠そうこの俺は、
只今売り出し中のアイドル、O・Mちゃんの大の大の大ファンである。
18歳のスリムで小柄なバディに、88cmのなんとG(!)カップ
小さな顔に小麦色の肌。
俺にとっては、まさにいいとこずくめのMちゃんなのだが、
そのMちゃんが年末に、
アフガニスタン難民の子供達の為に、
自分のグッズを某ポータルサイトのオークションに出品したのである。

つまり自分の来年のカレンダーとか、DVDとか写真集に実筆のサインをして出品、
それの売上を寄付するっていう、まあ良くあるチャリティーなのだが、
・しかし落札者にはなんと、
Mちゃん本人が手渡ししてくれるっていう特典付きだからもう大変である。

いたって硬派だが、ことMちゃんに関してはおもいっきりしミーハーなこの俺は、
目の色変えてさっそくそのオークションに参加すべく手続きを申請した。

これで準備は万端。
あとは、居並ぶライバル達に競り勝って、
あこがれのサイン入りMちゃんグッズをゲット。
そしてそれを、なななんとMちゃん本人から手渡ししてもらうだけだ。
うっひょおおお〜わくわく。

燃えに燃えてる炎の俺は、
すぐさまオークションに突撃開始。

もちろん俺は最初から勝ちにいっているので、
出品された5品のうち、
DVDと内容のだぶるビデオは無視だが、
それ以外のお宝4品、全てを買占めたるつもりで、
ガンガン最高値をつける。

画面には非っ常に気分の良い表示・・・
『只今の最高値----TAKU
だははは!

これで今日から2週間、
このポジションをキープしてさえいれば、
Mちゃんの手渡しは俺のもんなのだ、かっかっか

しかし・・・現実はそう甘いものではなかった。
強力なライバルの登場である。

オークションのシステムは非常に上手く出来ている。
最高入札すると、
それ以上の値段がついた場合に、
リアルタイムでメールの更新通知が来ることになっているのだ。
これならば、ライバルに抜け駆けされることはないが、
反対に競り合いにもろ拍車がかかる。

案の定そこからの2週間は、
そのメールのおかげで、
ライバル達との、リアルタイムの、
それこそしのぎを削る戦いが繰り広げられるのであった。

俺が入札する。最高値を付ける。
すると高値更新メールが来る・・・・
すぐさま値をあげる俺。
そしてしばらくするとまたメール。

「ちっくしょう〜〜〜!」

もう完全に血がのぼった俺は、
怒涛のような更新を仕掛ける。
しかし敵もさるもの、
すぐさま高値更新。
こんなガキどもに負けてたまるか。
愛しのMちゃんのGカップは俺のモノだ。

「がお〜〜〜〜!」

まるで、かつての小豆相場の仕出戦のような
殺気だった雰囲気を帯びてきたMちゃんオークション。
どんどんどんどん天井知らずに値が釣り上がって行く。
すでに各グッズは、定価の数倍に跳ね上がっている。

しかしもうその時点で、
俺様に食い下がってきてるばかものはSという男只一人。
しかしそのSは、あからさまな対抗心を俺に向け、
さすがになかなか手強い

それからは強敵Sとの、一進一退の攻防戦が続いていった。

ぷちんっ・・・そしてとうとう切れた俺は、
そのSを直接メールで脅かす手段に訴える事にした。
この際暴力もやむをえん
アフガニスタンのかわいそうな子供達の為に、
大人げないなんて事をいっている場合じゃないのだ。
ここはひとつ心をにして、正義とGカップのために戦わねばならん。

そのポータルのIDは、たいがいそこのフリーのメルアドIDと一致している。
そのSのIDに、おきまりの@以降をくっつければ、たぶんヤツの元に届くだろう。
そうふんだ俺は、さっそくその10年早いばかものにメールを書いた。

てめえ、俺はオークションにいるTAKUだ。
もういいかげん俺のMちゃんから手を引けこのやろおお!

すぐさま送信・・・・しめしめメールは戻ってこない。

にかか、たぶん着いたに違いない。
これで、返信でもしてこようものなら、
呼び出してコテンパンに脅かしてやるう!

やはり気合の込もったそのメールが効をそうしたのか、
ざまあみろ、
それ以降Sはおとなしくなり、俺の最高値がしばらく続いていた。
すでにオークション開始から13日と22時間。

「おお あともう少しだ・・・」

ほっと安堵のタメ息をもらしながら、
手渡し当日はどんな格好してこうかな?とか、
あんま緊張して怖い顔してたら、
Mちゃんにきらわれちゃうかなぁ・・・・とか、
もうそんなおバカなことまで考えてる余裕の俺

オークション終了まであと15分。
しかし、異変はその後すぐに訪れた。

ょえっ!?

俺は自分の目を疑った。
たった今まで安定していたはずのオークションに、
いきなり更新の嵐が巻き起こったのだ。
し・しかも、今までのレベルをはるかに超えた
高値更新ラッシュだ。

どどどどどどどど・・・・・

日本全国から怒涛のように送られてくる、
そのアンビリーバブルな更新ラッシュは、
まったく俺に更新の隙をあたえない。
な・なんだこれは・・・

しかも、全員今までの2週間の戦いには
まるで参戦していなかった新手の敵である。
実は本当の強敵はここにいたのだ。
最後の数分に命をかけて突入してくるコアなMちゃんヲタク達
値段はその何分かで、一気に倍ちかくはね上がっていく。

うわああああああ・・・

大慌てでアクセスを試みる俺を尻目に、
画面のタイマーはとうとう終了のカウントダウンを始める。
終了5秒前・4321・・・・オークション終了

げ・・・・・・・・・。

嵐の後の静けさ。
シ〜ンと鎮まりかえった画面を呆然と見つめながら言葉を失う俺。
完全なる敗北、完全なる作戦ミス。

最後の数分間の、この嵐のようなヲタクどもの攻撃に、
この俺の純粋なアフガニスタンの子ども達への真心が、
そしてGカップのMちゃんの手渡しの夢が、
無残にも跡形もなく打ち砕かれてしまったのだ。

がああああん!

そ・それにしても、
あんだけ気合入れて戦ったSとの2週間は、な・なんだったんだああああ。

恐るべしヲタクパワ〜である。

そんなわけでこの俺は、
もう一生ネットオークションなんてやってやらないと固く心に誓ったのである。

むろん、オークションのIDなんてもんは即削除したのは言うまでもない。

てやんでえい!だははは。


-了-


《今月のお薦めサイト》

○ Yahoo ! Auctions

今回の修羅場となったオークションサイト。
しかしもう二度と俺はここに足を踏み入れることはない。だはは


○ Miwa's auction

本来ならば俺の手元に来るはずだった品々。
うう・・・手渡ししてほしかった・・・







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