仏恥義理男塾
-仏恥義理男塾- 第31回

必勝!不良講座
ツッパリとヤンキーとマコトの夢・・・



横浜銀蝿 -仏恥義理男塾- DiGi/USER 1月号原稿

《タイトル》

必勝!不良講座
ツッパリとヤンキーとマコトの夢・・・

《本文》

きなりで何なんだが、
俺はそもそもヤンキ〜っていう言い方がいまいち好きくない

これは年代からきているのかどうかは知らんが、
俺の中高生時代、不良をヤンキーと呼ぶのは関西の方だけだったと思う。
いつのまにか、ヤンキーは全国区になってしまったが、
当時、こっち(ちなみに俺は東京大森出身)では、
不良のことを言う時は、もっぱらツッパリだった。

てゆかさ、なんで不良をヤンキ〜と呼びだしたのだろう
だって、ヤンキ〜ってアメリカ人のことだろ?
もっと詳しく言ったら、
南北戦争当時の北部諸州の人を南部の人が軽蔑してヤンキーって呼んだんじゃん?
それがな〜んでツッパリのことを指すようになったんだろう?
金髪だからか?

まぁ語源はともかくとして、
俺はやはり今でも、不良のことはツッパリと呼びたい

なんでかっていうとさ、
ヤンキーって言うと、なんか中身無いかんじしない?

でもツッパリっていうとさ、
もうまさに突っ張りってかんじじゃん。
(日本語になってないって?あはは)

つまりさ、
武士は食わねど・・・みたいなかんじや、
男のやせ我慢っていうか、
自分の価値観やプライド・美意識の為に、
ちょっと無理しながらも、精一杯粋がってるかんじっていうのが、
ツッパリって言葉の中にはある気がするんだ。

それが、ヤンキ〜だと、
なんかちょっとファッションみたいな軽さを帯びる。
みんなはどう思うか知らんが、
的にいうと、やっぱ全然ピンとこないのである。

似たようなことなんだけれども、
不良少年と、非行少年ってのもあきらかに違うじゃんか?

不良少年だと、なんかかわいげっていうか、
どっか憎めないかんじするけど、
非行少年は、なんか知能犯みたいなかんじじゃん。
ち〜っともかわいくない

だから俺としては、若い諸君には是非、
ヤンキ〜じゃなくてツッパリ。
非行じゃなくて不良に育ってもらいたいと願うのである。

というわけで、今回は俺のかつてのツッパリ仲間のお話。

、俺がガソリンスタンドでバイトしてる頃、
ん〜たしか、18とか19の頃だったと思うんだけど、
そんときのバイト先に、マコトってヤツがいたんだ。
やっぱマコトも、当時の俺みたいにろくでもない少年だったんだけど、
そのマコトが、まさに憎めない不良少年だった。

マコトは秋田から飛び出してこっちへ来ていた。
住むとこないんで、社員用アパートに住み込みだ。
「なんで地元おん出てきたんだ?」

なぜか不思議とウマがあった俺とまことは、
そのうちお互いを語り合ったりするようになった。

もちろん当時の俺の夢は、バンドでメジャーデビュー
作ったデモテープをマコトに聞かせたり、
反対にヤツの話で盛り上がったりしていたのだが・・・

「こっちでやりたいことがあるって言ってたじゃんか?」
「・・・」
「なにして〜んだ?」

最初黙って下を向いていたマコトが、
ヤツ特有の無邪気な笑顔でボソっと言った。
「・・・スピンタ〜ンする」
ん?

まことの夢はなんと
あこがれの渋谷の、しかもハチ公前の交差点で、
シャコタンスピンタ〜ンすることだったのだ。ぶははは

修学旅行で初めて渋谷の交差点に立った時、
感激のあまり胸の中で誓ったという。

まことは、わざわざその為に
秋田を飛び出して、こっちで住み込みでスタンドで働いていたのだ。

その日を夢みてマコトは、
シコシコ毎日スタンドで仕事をし、
貯めた金で先輩から中古のルーチェを買い、
仕事の合間にスタンドのガレージで少しずつ改造
数ヶ月もすると、立派なぶりぶりの紫のシャコタンが完成していた。
あとは免許だけ・・・

そう、知り合った当時、マコトは免許を持っていなかった。
しかし無免でも、
もちろん暇さえあれば夜な夜なスピンターンの練習をしていた。

ただ、道を歩いていてもトラブルの多いあぶなっかしい性格のマコトが、
公道車で走るなんて、まさに危険と俺は思ったのだが、
やさしい教習所の教官のおかげか、まぁ、多少てこずったが、
そのうちなんとか無事普通免許を取得
あとはその夢の実現あるのみだ。

そしてとうとう、その計画を実行する週末がやってきた。
深夜の渋谷ハチ公前の交差点
ぶりぶりに改造したのシャコタンで、
マコトは見事にスピンタ〜ンを決めた

その後、夢を果たしたマコトは秋田に帰っていった。
そのまま音信不通になってしまったが、
後から聞いた話によると、
めちゃめちゃな走りで秋田まで帰ったらしく、
それまでタ〜ンばかりやってたタイヤを、
途中でバーストさせたらしい・・・

月日がたって、俺はその後、
銀蝿がデビューすることになったのでそのスタンドを辞めた
もちろん、秋田に帰ったマコトのこともすっかり忘れていた

毎日レコーディングやら、
デビューコンサートやらの準備に追われる毎日。
今度は、俺の夢が実現する番だった。

そしてとうとう銀蝿のデビューコンサートの当日。
俺はすでにレコードデビューを果たし、
そして念願の初コンサートである。

開演時間になり、
横浜教育会館の舞台の幕が少しずつ開いていく。
プロとしての初めてのステージ。
会場からは、信じられないくらいの声援
ったじゃんか・・・とうとう俺も・・・」
俺は、ようやく手にしたこの実感に心を震わせていた。

その時、会場からの声援の中に、聞き覚えのある声が混じっていた。

「たくぼ〜〜〜〜っ!」

俺を“たくぼ〜”などと呼ぶ、ふざけたヤツこの世一人だけだ。
そう、それは秋田訛りの・・・マコトの声だった・・・。


-了-


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